漢方内科
漢方内科
漢方内科は、主に漢方薬を使用して、様々な症状や病気を治療する診療科です。漢方医学は、西洋医学と異なる診断や治療の枠組みを持っているために、通常の血液検査や画像検査で診断がつかなかったり、現代医学の治療だけでは改善しにくかったりする症状でも、漢方薬のアプローチで奏功することが少なくありません。また、漢方治療は症状の緩和を第一の目的としますが、心身のバランスの乱れが病気に発展していくという「未病」の考え方があり、この未病の段階で生活習慣の改善や漢方治療を行い、病気を回避していくという予防医学の側面もあります。
漢方治療は内科、皮膚科、小児科、婦人科など、診療科目は関係なく全ての身体症状を対象としています。症状があっても西洋医学的に原因がはっきりしない、西洋医学的な治療で症状が改善しないなど、お悩みがある方はぜひ一度ご相談ください。
漢方内科の診察は、お悩みの症状と生活習慣(食事内容や排泄など)について詳しくうかがい、東洋医学的なアプローチによって、身体や心の状態のバランスの乱れや改善点を見つけます。そして症状とバランスの乱れとの因果関係を考え、その状態を改善する漢方薬を処方します。また、症状に悪影響を及ぼしている可能性のある生活習慣があれば、改善に向けた生活指導もさせていただきます。
上記の症状に心当たりがある場合や気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症の複合病態であるメタボリックシンドロームは、集積して存在すると生活習慣病としての危険性が高まり、ときに重大な合併症を引き起こし、死に至る場合もあります。一方で、メタボリックシンドロームは可逆性という一面も有しています。判定基準により判定し、早期から未病の段階で治療介入ができれば、動脈硬化性疾患に発展する危険性は大幅に減少する可能性があります。メタボリックシンドロームへの対処は、食事療法、運動療法、ストレスの軽減を目的とした生活が基本になりますが、この段階での漢方薬の使用は肥満の改善を目的とします。次いで循環障害の改善を目的とした漢方薬も必要となります。
漢方では消化器を脾胃(ひい)と称しますが、この脾胃の機能低下は以下の4つに分けられ、それぞれのタイプに応じて漢方薬が使用されます。
突然、周囲がぐるぐる回り、吐き気や耳鳴りを伴う回転性のめまいや急に立ち上がったり、ある方向を振り向いたりしたときにクラッとするめまいには、それぞれの症状に適応する漢方があります。受診の際にはどのような症状なのかを詳しくお伝えください。
更年期障害は、あきらかな原因が見当たらないのに「あちらこちら具合が悪い」という症状の訴えが多く、のぼせや動悸、発汗、めまいなど自律神経失調症と密接な関係があるといわれています。
現代の生理学では、直接的要因を女性ホルモンの減少として、ホルモン補充療法が行われます。一方、漢方治療では、ホルモンの減少は自然の摂理と考え、この期間の症状を改善するために症状に応じて漢方薬で対処します。
不眠症の薬物療法で主流になっている睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)は即効性があり、確実な効果が期待できます。一方、睡眠薬の副作用や依存性に不安を持たれている方や、服用に対して罪の意識を持つ方さえいらっしゃいます。こうした背景から、睡眠薬の減量・離脱を目的に漢方薬を併用するケースや、漢方薬のみを希望する方が徐々に増えています。近年、不眠に対する漢方治療の必要性が高まっています。
皮脂分泌が盛んな毛穴にアクネ杆菌(かんきん)が繁殖して化膿する病態がにきびです。現代医学では外用薬による治療が主体となりますが、重症の場合は殺菌を目的として抗生物質が使われることもあります。漢方治療では、にきびができにくいように体質を改善させることを目的としています。
尿路の不定愁訴は頻尿、尿漏れ、残尿感、排尿痛、下腹部痛など多彩な症状があるにもかかわらず、器質的な障害が認められません。このような際、西洋医学では精神安定剤などが用いられますが、症状の改善が得られない場合、漢方治療が適します。漢方医学では尿路の不定愁訴を一種の機能障害と解釈して、全身症状も考慮しながら適応する漢方薬を選択します。
超高齢化社会が進む中、後期高齢者の病態としてフレイルやその原因となるサルコペニア(筋肉量が減少すること病態)が注目されています。フレイルは「虚弱」などを意味する「Frailty」が語源であり、足腰の筋力が低下し、疲れやすい、やる気が出ない、食欲がないなどの症状がみられる状態をいいます。漢方にはこれらの症状を総合的に改善させるものもあります。